【気まぐれ日記】勉強に目覚めた瞬間
その生徒の前ではなぜかその感情を出せず後悔したのだが、今日鳥肌が立つくらい嬉しかったことがあった。
それは、休み時間のこと。
期末テストが終わったということで、全員に期末テストの点数を各々のカルテに書いてもらったわけだが、A君の数学の点数がわずかではあるが前回に引き続き上がっていた。平均点が下がっているので、10点分くらい上昇した感覚だろうか。
私 「おぉ~!数学、また上がったな。すごいじゃん」
A君「でも、変なミスが多くて、もしなければ94点くらいいきました」
私 「そっか~。いつの間にそんなにできるようになっちゃったの?スゴイよ。びっくりだな」
A君「(満面の笑み)」
私 「今回の数学は単元が難しいから差がついてるだろ。周りの友達はどう?」
A君「みんな落ちてます。わかんないって言ってるし」
私 「だろうなぁ。自分が周りより点数取れてると嬉しいだろ?」
A君「すげぇ嬉しい。なんか俺、勉強に目覚めた」
私 「(鳥肌が立ち思わずその場を立ち去る)」
ちなみに、敬語になったりそうじゃなかったりするのは、友達であるB君に話しかけるように私に答えているからである。
このA君は、夏期講習から通い始めたのだが、通い始め当初は数学は本当に苦手科目だったのだ。まず等式変形はアウト。もちろん連立方程式もダメ。そんな状態から始まった数学は、今や5科目の中で一番いい点数を取れる得点源科目になった。
1学期期末テストから2学期中間テストにかけては、64位UP(5科)を成し遂げた。
「数学が出来ると自分が頭がよくなった気がするはずだ」とは誰かが言った台詞だが、納得である。自分の能力に自信を持ったのだ。
彼はなぜそんなに伸びたのか。
それは主に2つの要因があると思う。
一つは「素直さ」だ。A君はとにかく素直だ。見た目は中学生にありがちで「やんちゃな」感じはするものの、授業でノートを取る顔は真剣そのものだ。後ろ向き(ネガティブ)な態度は決して見せない。指示したとおりのやり方で解く。とにかくわからなくても真似をして解こうとする。自分の変なやり方に固執しない。謙虚なのだ。
もう一つは「よきライバルの存在」だ。A君の周りは、やる気のある友達で溢れている。同じ部活動のB君、C君。部活動は違うものの、勉強面で引っ張るD君。みんな「友達」であり「ライバル」だ。
「あいつが頑張ってるから俺も頑張ろう」
いい意味でお互い意識し、刺激し合いながら頑張っているのである。悪い点数を取って「難しいからこんな点でも仕方ないよな」と同調し慰め合うような友達ではない。
これら2つの歯車がうまく回って、急激に伸びたのではないだろうか。
さて、人生は瞬間瞬間の繰り返しと言われるが、「勉強に目覚める」瞬間なんてそう多くないはずだ。
今まで勉強の仕方がわからなくて、試験前になんとなく勉強やってなんとなく受けていた定期テスト。そのテストに向かって、計画的に副教材を終わらせ勉強をできるようになった。
これはたとえていうなら、「ひとりで自転車に乗れるようになった瞬間に立ち会ったこと」に近いだろうか。幸い私は、長男・次男ともにその瞬間に立ち会うことができたが、その時も鳥肌が立った。そんな喜びに限りなく近い。
「おとさんっ!手離していいよ」
「もう離してるよっ!やったなっ!乗れたぞ!」
「先生!俺勉強に目覚めたよ」
この仕事をしていてもなかなか聞けない言葉。そんな稀有な瞬間に立ち会わせてくれたA君に感謝。
ありがとう、A君。
この仕事しててよかった…。
この記事にはまだコメントがありません。